

この対談は、発電マングループ顧問岩堀良弘氏の著書『「発電貯金」ならほっといてもお金が貯まる』に、掲載されています。岩堀氏と西島社長の対談です。
| |

著者岩堀良弘氏 |
|

西島貞夫社長 |
(対談より)
西島社長は、屋根と太陽光発電システムという、ある意味矛盾する両者をいかにバランスよくつなぎ合わせるかといったことを早い時期から考え続けてこられた屋根のプロフェッショナルだ。屋根のプロ職人としての立場から、現在の業界について赤裸々な本音を方っていただいた。
岩堀:タップ工房さんは代々板金業を営んでこられたという
ことですが、板金業というのはどういう仕事をするのですか?
西島:そうですね。一般の方にはあまりなじみがないかもしれません。板金業にもいろいろあるのですが、われわれは建築板金といって、家の屋根・壁の“雨じまい”を主に担当しているのです。
岩堀:家の屋根や外壁、樋(とい)の仕事なんですね…。
西島:そうです。一般の人は家というのは大工さんが作ると思っているでしょう?
岩堀:そうですね。
西島:実際には家というのは20種も30種もの業種の職人によって作られるものなんですよ。仕事が細分化されて、それぞれのプロがそれぞれの腕を存分にふるって、はじめていい家ができるわけです。家の中の雨じまいは板金屋の仕事なんです。屋根ひとつとっても、例えば瓦の辞めでも瓦を葺くのは瓦職人ですけど、雨じまいは板金屋の担当なわけです。だからわれわれは雨じまいのプロなわけです。
岩堀:なるほど、そんな「雨じまいのプロ」が太陽光発電システムに取り組むようになったきっかけを教えてくださいますか?
西島:私がもともと環境に関心をもったのは、今問題なっているアスベストが発端なんです。
岩堀:大変な問題ですよね……。
西島:1980年ごろですかね。当時、建築資材の中に多くのアスベストが含まれていることに愕然としたのです。仕事を終えて家に帰っても、すぐに子供を抱き上げてやることができない。身体中にアスベストがついていたからです。
岩堀:そんなにひどかったのですか……。
西島:当時は辞め・壁・天井・床などあらゆるところにアスベストが公然と使われていました。子供たちの手の届くところにです。本来やすらぎノバである「家」が有害物質だらけの、最も危険な場所になっている……。その頃から「ほんとうに人に優しい家」とは何か? 真剣に考え始めたのです。
岩堀:それで太陽光発電にたどり着いたわけですか?
西島:いや、当初、屋根屋の立場としては、屋根にこんなものを付けるのはとんでもないと思った。単純に屋根だけの問題で言ったら、屋根に余計な負荷はかけたくないですからね。
岩堀:最初は反対だったんですか……。
西島:はい。しかし一方で、ちきゅう規模で考えたときには歓呼湯問題・エネルギー問題は日本にとって避けて通れない問題だということも感じていました。1994年からは国が補助金まで出して普及に乗り出してきた。屋根にとってはあまり良くないことではあるけれど、将来にわたって考えた時、日本にとっては必要なシステムだ。ならば拒絶するのではなく、逆に屋根のプロとして、どうしたらリスクを減らしながら設置ができるか、我々こそが提案していくべきだと考えたわけです。どうみても屋根のことを一番わかっている我々がやるべき仕事だと確信したのです。
岩堀:なるほど。否定するばかりじゃダメですものね。
西島:そうです、どうしたら屋根へのリスクを最小限にしながら太陽光発電システムを設置することができるか、それをずっと考えながらやってきたわけです。ただ、最近の業界の流れには多少危機感を持っています。
岩堀:というと?
西島:最近は設置の量も増えてきました。架台が研究されてきて、設置しやすくなってきたということは確かにあります。しかし、その一方で価格を音産がため、無理な工期の短縮、安易な設置に走る傾向がないとは言えません。
岩堀:例えばどんなことですか?
西島氏:例えばカラーベストの屋根一つとってもそうです。カラーベストの工事はカンタンな工事だといって、ほとんど素人のような人が手軽にビスを打ってしまう傾向があります。コーキングを塗りさえすればいいと。また、メーカーもそのようなことを推奨していたりします。でも私に言わせたらとんでもないです。
岩堀:というと?
西島氏:カラーベストは表面にぎざぎざがあるでしょう。あれはなぜあるかというと瓦どうし密着させないようになっているわけです。密着すると毛細管現象といって水がその隙間を伝って登ってくるのです。だからわざわざ密着しないようにでこぼこした表面にしてあるんです。それをビスを打つ場所も考えずに、上からねじ込んだらどうなるか。ねじ込んで密着させてしまうと毛細管現象が起こりやすくなるわけです。
岩堀:なるほど……
西島氏:屋根には水の通る道というものがあるんです。屋根って言うのは水を「受ける」構造なんですよ。あんな大きな屋根に一枚のものをつけられないから、小さな瓦を何枚も並べているわけ。それで水を受けるわけです。水というのは受けるしかないわけですね。水を受けて、受けて、寄せて受ける。寄せて受ける「ジョウロの原理」があるわけですね。水がどこを通って、どこに集まってどこに流れていくのか、それを理解しなければいけません。
岩堀:へえ……「水の通り道」があるんですね。
西島氏:だからビス一つでも、打っていいところと打ってはいけないところがあるわけです。ないがしろにはできないわけです。いずれにしてもビスは打たなければならない。でも、リスクを最小限にする方法があるわけです。そういったことをわかった上でビスを打っている業者がいったいどれぐらいあるのか……。
岩堀:メーカーの施工マニュアルではわからないと……。
西島氏:これは一つの例ですから。通常そういったことが体でわかるには屋根職人としての経験が三年から五年必要になるわけです。いまの規格化した家では多様な経験ができにくいから、昔よりもっと時間がかかるかもしれない。これはマニュアルや二日三日の研修で身につくものじゃないわけです。
岩堀:んん……。熟練した技術を身につけるにはそんなにかかるんですね……。
西島氏:日本の家屋は瓦の種類だけでも何百、何千種類とあり、屋根の形も千差万別です。一つといって同じ屋根は無いと言っていいくらいです。なかなかマニュアル化というのは難しい。経験で覚えていくしかないのです。
岩堀:ただ単純にモジュールを屋根に載せればいいというわけではないんですね。安心できる施工かどうかが問題なわけですね。
西島氏:私は太陽光発電システムは環境のためにも積極的に導入するべきだと思いますよ。できるだけ多くの人に取り入れてもらうためにも、できるだけ安く提供できるようにしていくことには大賛成です。しかし、だからといって安さを追求する余りいたずらに工賃を下げ、それが安直な工事につながり、結果としてユーザーのリスクが高まるようでは元も子もないわけです。
岩堀:そのとおりですね……
西島氏:いまマンションなどの「構造計算の偽造」が問題になっていますよね。これも突き詰めていくと消費者の安さへの妄信が根底にあるわけです。太陽光発電システムも構造的に同じ問題を孕んでいるのです。二〇年、三〇年と長く使ってこそ価値の出る太陽光発電システムだからこそ、「安さ」と引き換えに「信頼性」を犠牲にするようでは意味がないわけですよ。
岩堀:西島社長のおっしゃるとおりだと思います。太陽光発電システムというのは太陽電池モジュールが主体で、工事は従のように思われていますが、ユーザーにとってのリスクの高さといった観点で見ると、むしろ工事のほうが重要ですよね。それにモジュールは工場で作られる規格品ですが、設置工事は一軒一軒職人による手作りになるわけです。工事に失敗すれば損害は甚大なものになる。そういった意味では太陽光発電システムは電機メーカーが工場で作るものというよりも、職人が屋根の上で作るものといった方が実態に近いといえます。設置工事を行う職人さんにはプライドを持って信頼できる工事をやっていただきたいですね。今日は貴重なお話をありがとうございました。(完)
●西島への執筆・講演等を承ります。お申し込みは、

 
太陽光発電事業の健全な発展を願い、正しい普及をしていこうと、「発電マングループ」(運営本部:株式会社フォトボルテック)が立ち上がりました。
当社もその設立メンバーであり、加盟会社でもあります。
西島社長は、産業用アドバイザー&雨じまいのアドバイザーとしても研修に関わっています。当社の建築板金・屋根と雨じまいの技術などを提供しています。お互いの情報交換や技術指導、普及活動のあり方などの勉強会を毎月開催や、定期的セミナーなどの活動をしています。
 
また、各メーカーの製品等についても、情報のご提供をさせていただいております。
一度、お問い合わせ下さい。

|